【50代からの人生再設計】役職定年が引き金に?後悔しない「熟年離婚」の進め方と備え

50代の離婚、他人事ではない「役職定年」という落とし穴

「子育ても一段落し、これからは夫婦二人の時間」。そう思っていた矢先、夫の「役職定年」をきっかけに、夫婦関係がギクシャクし始めた…。近年、そんな50代のご夫婦からのご相談が増えています。

実際に、長年連れ添った夫婦が別々の道を歩む「熟年離婚」は増加傾向にあり、特に同居20年以上の夫婦の離婚は、この40年で約3倍にもなっています。

その大きな引き金の一つとして注目されているのが、多くの企業で導入されている「役職定年」制度です。これまで仕事一筋だった夫の生活が大きく変わり、夫婦の間に見過ごせなかった問題が浮かび上がってくるのです。

この記事では、役職定年がなぜ熟年離婚につながるのか、その原因を深掘りするとともに、万が一「離婚」という選択肢を考える際に後悔しないための準備について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

1. なぜ役職定年が夫婦の危機に?3つの変化

「役職定年なんて、給料が少し下がるくらいでしょう?」そう軽く考えていると、思わぬところで夫婦関係の歯車が狂い始めることがあります。役職定年は、主に3つの大きな変化をもたらします。

  1. 収入の変化最も直接的な影響は、収入の減少です。役職手当などがなくなり、給与が2〜3割、あるいはそれ以上減るケースも少なくありません。これが、後述する経済的な不安へと直結します。
  2. 関係性の変化 これまで部長や課長として部下をまとめ、大きな責任を担ってきた夫が、役職を離れることで喪失感を抱えることがあります。家庭での態度が頑なになったり、逆に自信を失って口数が減ったりと、夫の変化に妻が戸惑うケースは多いです。
  3. 生活リズムの変化 残業や会食が減り、夫が家にいる時間が急に増えます。これまでは仕事で顔を合わせる時間が短かったからこそ保たれていた距離感がなくなり、お互いの存在がストレスに感じられてしまうのです。

こうした変化が、これまで水面下にあった夫婦間の問題を一気に表面化させるのです。

2. 「離婚」の二文字がよぎる、3つの決定的な原因

役職定年による生活の変化は、どのようにして「離婚」という決定的な選択肢に結びついてしまうのでしょうか。そこには、多くの50代夫婦が直面しがちな、3つの原因が隠されています。

  1. 収入減による経済的な不安 「老後の資金は大丈夫だろうか」「住宅ローンは払いきれるのか」。夫の収入減は、具体的な経済的不安となって夫婦に重くのしかかります。特に、これまで家計を夫に任せきりだった妻ほど、将来への不安は大きくなりがちです。
  2. 長年のコミュニケーション不足の顕在化 夫が家にいる時間が増えたことで、「こんなに話が合わない人だったのか」と気づくケースです。仕事という共通の話題を失い、日常の会話がなくなる。長年蓄積してきた価値観のズレや不満が、コミュニケーション不足によって一気に顕在化します。
  3. 親の介護問題の発生 50代は、自身の親の介護が本格化する時期でもあります。夫の収入が減り、家にいる時間が増えたタイミングで介護が始まると、「あなたが家にいるのだから、介護はあなたがすべきだ」といった役割の押し付け合いが起こりやすく、夫婦関係に深刻な亀裂を生む原因となります。

3. 50代で離婚するメリット・デメリット

様々な原因が積み重なり、離婚を真剣に考え始めたとき、一度立ち止まって冷静にメリットとデメリットを考えることが重要です。

  • メリット

    • 人生の再設計: しがらみから解放され、残りの人生を自分のために自由に設計できます。新しい趣味や仕事にチャレンジする方も多くいます。
    • 精神的な安定: 日々のストレスの原因だった相手と離れることで、精神的に安定し、穏やかな毎日を送れる可能性があります。
  • デメリット

    • 経済的な不安定さ: 最も大きな問題です。財産分与で得られる資産や年金だけでは、老後の生活が困窮するリスクがあります。特に専業主婦だった方は、新たな仕事を見つけるのが難しい場合もあります。
    • 社会的・心理的な孤独: 長年連れ添ったパートナーを失う喪失感や、周囲からの視線が気になるなど、心理的な孤独を感じることがあります。
    • 子どもへの影響: 成人した子どもであっても、両親の離婚は精神的なショックを与えます。また、子どもの結婚式などのライフイベント時に、複雑な思いをさせてしまう可能性もあります。

メリットに心惹かれる一方で、デメリット、特に経済的な問題を直視することが、後悔しない選択への第一歩です。

4. 後悔しないために。離婚を決断する前に準備すべき最重要ポイント

もし離婚という選択を決断するのであれば、感情的に進めるのは絶対に禁物です。特に「お金」に関する準備は、あなたの将来を左右する最も重要なポイントです。必ず以下の点を確認し、計画を立てましょう。

  • 財産分与:退職金と年金を忘れない 夫婦が協力して築いた財産は、離婚時に半分ずつ分けるのが原則です。預貯金や不動産だけでなく、まだ支払われていない夫の退職金や、これまでの厚生年金の納付記録(年金分割)も財産分与の対象になることを忘れてはいけません。これらは老後の生活を支える非常に重要な資産です。
  • 住宅ローンはどうする? 持ち家の住宅ローンが残っている場合、誰が家に住み、誰がローンを払い続けるのか、明確に決めなければなりません。安易に「夫が払い続けるだろう」と考えていると、後々支払いが滞り、家を失うリスクもあります。
  • 具体的な老後の生活設計を立てる 財産分与でいくらもらえるのか、年金はいくらになるのかを試算し、離婚後の生活費が賄えるのか、具体的なシミュレーションを行いましょう。漠然とした不安を「数字」に落とし込むことで、現実的な判断ができます。

これらの金銭問題は、当事者同士の話し合いだけでは感情的になり、法的に適切な判断が難しいケースがほとんどです。

 

5.専門家に依頼するメリット 

別居のタイミング: 別居は、財産分与の基準時(どの時点の財産を分けるか)や、離婚成立までの生活費(婚姻費用)の請求に関わる、法的に非常に重要なタイミングです。特に熟年離婚では退職金など高額な資産が関わるため、いつ別居に踏み切るべきか、事前に弁護士に相談することで、不利にならない準備(資産の証拠確保など)を進めることができます。

まとめ:未来を見据えた冷静な判断と、専門家への相談が重要

役職定年は、多くの50代夫婦にとって、これまでの関係を見つめ直す一つの転機です。それが新たなステージへの幕開けになるか、関係の終わりにつながるかは、夫婦それぞれの状況によります。

もし「離婚」という選択肢が頭をよぎったなら、決して一人で抱え込まないでください。そして、感情的に「離婚届に判を押す」といった行動だけは避けるべきです。

この記事でお伝えしたように、熟年離婚には退職金や年金分割、住宅ローンといった、非常に専門的で複雑なお金の問題が絡んできます。 「うちの場合は、財産分与はいくらになるんだろう?」 「相手にどう切り出せばいいかわからない」 そう感じたら、それは専門家である弁護士に相談するタイミングです。

あなたの未来を守るためにも、まずは一度、専門家の意見を聞き、冷静に状況を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

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