不貞の慰謝料請求が認められるための要件
不貞の慰謝料請求が認められるための要件
1.不倫相手が、夫(又は妻)が既婚者であることを知っていたこと又は容易に知りえたこと
(夫(又は妻)に対して慰謝料請求する際には問題とならない)
明確に結婚していると聞いていなくても、子供の話や夫(又は妻)の愚痴を聞いていたりなどしていた場合には、少なくとも、不倫相手は夫(又は妻)が既婚者であることを容易に知りえたといえます。
2.不貞行為があったこと
基本的には、肉体関係があったことを言います。ただ、肉体関係は必須ではなく、その一歩手前でも、夫婦間の平穏・円満な共同生活を送る権利を侵害したとして、不貞行為が認められる可能性はあります。
3.不倫された時期に、夫婦関係がすでに破綻していたわけではないこと
(判例上、夫婦関係が破綻していた場合には、法的保護に値する利益があるとは言えないとされています。)
夫婦関係が破綻していると言うためには、「客観的に婚姻生活が破綻しており、修復の見込みも無くなった場合」である必要があります。たとえば、別居状態がすでに長く続いていたなど。単に喧嘩が多くなっていたなどの事実だけでは、夫婦関係が破綻していたとは言えません。
4.不倫により精神的な苦痛を被ったこと
あなたがどれほど傷ついたかを主張することになります。不倫により精神的な疾患が生じ、病院に通うなどの事態にまで発展していれば、より高額な慰謝料を請求できることとなります。
5.不貞行為を知ったときから3年が経過していないこと
民法724条により、不貞行為を知ったときから3年が経過してしまうと消滅時効となり、慰謝料請求できなくなります。また、あまりないケースとは思いますが、不貞行為から20年を経過したときには、たとえその不貞行為を知ったときから3年以内だとしても、同じく民法724条により慰謝料請求は不可能となります。
6.慰謝料請求権の放棄をしていないこと
慰謝料請求はしない旨の発言をしていないこと。ただ、積極的に放棄していないことを立証しなければならないわけではないので、慰謝料請求はしない旨の発言を証拠(書面や録音テープ、発言を聞いた第三者の存在など)として残してしまっていなければ、問題ありません。
7.(特に上記1、2の)証拠がそろっていること
訴訟になれば当然立証するために証拠が必要ですし、訴訟に至る前段階の交渉の際にも、証拠がなければ開き直られてしまうので、証拠は必須です。